恋し、こがれたインドの染織

大倉集古館で開催されている、畠中光亨コレクション『恋し、こがれたインドの染織-世界にはばたいた布たち-』の展示を見てきました。
2023年8月8日~2023年10月22日までの長期開催です。

この展覧会では日本画家でインド美術研究者である畠中光亨氏が50年をかけて収集した染織品のコレクション1500点の中から、厳選された120点余りが展示されています。

交易により世界に輸出され変化を遂げていったインド布の伝播に着目されており、インド木綿の細やかさは圧倒的。

ウェルビーイングTOKYOでも、インドアートとしてカラムカリ(インド更紗)を、インドアンティークとしてペーズリー(カシミールショールの一部)、といったインド布のコレクションがあります。

今回はWTで実際に販売している貴重なインド布を一部をご紹介します!

 

インド更紗

更紗の名で知られる捺染布にカラムカリ(手捺染)を施したインド布マタニパチェディ。

マタニパチェディ(Mata-ni Pachedi)とは手描きとブロック型押しを併用して作られているインド更紗の一種で、何世紀にもわたって手描きの技術が伝承されています。

 

WTで取り扱っている作品は、インドのトップアーティストで、2000年に大統領に表彰されているSanjay Chitaraによるもの。300年Mata ni Pachediを描き続けている現存する唯一の一家の出身です。

マタニパチェディ [黒いバファローに乗るヴィシャ・マタ女神]

マタニパチェディは、伝統的な泥ブロックを使いコットン生地にブロックプリントを行い、細かい手書きで最終仕上げを行っているとても贅沢なもの。

作品に合わせてイタリアの額縁でモダンに額装しました。

マタニパチェディ [女神達の図]

こちらのマタニパチェディの写真は、POP UP開催時のものです。年に数枚しか製作することができない貴重な作品を、WTが日本で初めて公開することに。

作品に合わせてスペインの額縁でモダンに額装しました。

インドカシミールショール

インドのヒマラヤ山脈の高地には、天然染料で染めた極細のパシュミナ毛の手織りウールに、繊細で美しい刺繍を施して作るカシュミールショールが存在します。それに刺繍が導入され、織物と見まごうばかりの繊細で美しい刺繍布地が創られるようになりました。

 

1枚のショールを製作するのに、意匠のデザイナー、植物染め専門家、整経職人、糊付け職人、織り手など、10人以上の専門職人が1年以上の歳月を費す、歴史的名品です。

ペーズリー刺繍古布額縁

そんなコレクター所蔵である200年前のペーズリー刺繍のパッチワーク生地を、1つ1つ丁寧にほどき、モダンな額に合わせて小さなアート作品を創りました。

 

小さな布地に、200年前の目を見張る高度な技術が凝縮しています。

ペーズリー刺繍古布掛け軸 [更紗]

こちらもコレクター所蔵の200年前のペーズリー刺繍のパッチワーク生地を、1つ1つ丁寧にほどき、モダンな掛け軸に合わせて小さなアート作品を創りました。

 

表装裂は江戸時代の京更紗。 黒い細い糸を渡してあり、そこに3枚の刺繍布がとめられた色紙状のを挟み込むように飾る仕組みになっています。

ペーズリー刺繍古布掛け軸 [黒]

多彩な色を駆使した色の調べは、近くで見れば見るほど圧倒させる素晴らしさ。

 

表装裂は、黒のベルベットに不規則な穴があいた和紙を重ねた現代布。和紙は越前和紙、軸先は瀬戸焼です。
細目の掛け軸は場所を選ばず掛けられるところが嬉しいところ。

日本とインド布の繋がり

日本では昔からインド更紗などを袱紗などのお茶道具に仕立てたりしていますが、インドのアンティークは日本の暮らしと不思議と相性がいいように思います。
是非、和のアクセントとしても使ってみてください。

 

マハラジャや5000年以上の長く豊かな文化を持つインド。

素朴さの中にも洗練されたインドのアンティークはどこか懐かしく暮らしのアクセントになりますよ。

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