古民家×Pierre Jeanneret ~同じ時代を生きた創作物の融合~

建築家 板坂諭さんの手によって蘇生された築約100年の古民家。年始から板坂さんが代表を務める株式会社the design laboのサテライトオフィスとして始動し、このサテライトオフィスのお披露目を兼ねて1月9日から2月9日までPierre Jeanneret展を開催するとのことで、一足早く、昨年末にお邪魔させていただきました。

– Pierre Jeanneret展 –
2024年1月9日(火)~2月9日(金) ※土・日・月は休館
時間:13時~19時
会場:東京都中央区新富2-4-8

古民家という和の空間でJeanneretが創作した家具15点を楽しむ

築約100年の古民家と、
101年前に設計事務所を立ち上げたPierre JeanneretとLe Corbusier。

同じ年代に創作されたモノのを融合しようと企画したことから今回の開催が決まったそう。

大正時代が生みだした和の空間とJeanneretがインドで創作した家具15点の融合を体感できる貴重な展示会でした。

Jeanneretの椅子、その佇まい

WTでも馴染みのあるジャンヌレの椅子たち。

 

仕事中、ギャラリー内ではいつも近くにいますしいつも見ています。長い時間を共にしています。

ですが、板坂さんの新しいアプローチによる大正時代の日本 “思いっきりの和” との化学反応で、そこにあったのはまた新しい魅力を纏ったジャンヌレでした。

 

どんなスタイルにも寄り添い、その空間、空間で静かに、けれどもしっかりと存在感をだしてくれるジャンヌレ。

奥が深いです。

当時を彷彿させる空間の作り込み

大正時代の建具や照明を集め、当時の姿を想像しながら作り込んでいる各スペース。

妥協しない細部までのこだわりが空間に生きています。

この古民家に置いてある照明家具たちは、板坂さんを中心に設立したブランドのもの。

Jeanneretの椅子の隣にあるMushroom Lampもそのうちのひとつで、

2012年にサンフランシスコ近代美術館のパーマネントコレクションとして収蔵もされました。

 

パッと目を惹く日の丸のような赤い風船の形をしたものは板坂さん自らデザインを考案し、ガラスによって製作された装飾品。

どうしても風船のリップラインをガラスで作ることが日本の職人さんでは難しく実現不可能かと思われましたが、

なんとイタリアの職人さんが二つ返事で承諾。板坂さんの情熱を注いだ熱量の高いものです。

 

2階には同じ風船の形をした照明タイプのものが置いてあります。コードレスの置き充電式なので持ち運びも可能。

風情感じる薄暗い空間に、温かみのある色味で照らしてくれています。

もう一つの主役、古民家

昔の風情や情緒に溢れる、いうなれば“古い建物”たちは、都市開発の影響で無残にも壊されているのが現状。

日本の発展。経済の成長。そのためには仕方のないことだったのかもしれません。

しかし、日本が誇る文化の礎やスピリッツはこういったものにこそ宿っているように思います。

 

守り、そして受け継いでいく。

決して簡単ではありませんが、だからこその価値もまたあるように思います。

板坂さんとのお話の中で、

「今回の古民家蘇生を皮切りに古民家を文化財として見直すきっかけにしたい」という強い思いをお伺いしました。

 

日本の古き良き趣が残る古民家をこの先の100年も当たり前に継承していける、そんな未来になったら嬉しい。

展示をみながら、お話を伺いながら私も深く心に思いました。

そしてなにより、この空間の中で聞く板坂さんの言葉には説得力がありました。

 

お時間がありましたら皆様も、是非。

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