ジョージ・ナカシマの生き様が表れる家具たち

ジョージ・ナカシマは、家具の”デザイナー”と呼ばれるのを嫌い、自分自身のことを”ウッドワーカー(木匠)”と呼んでいました。

運命に翻弄されず、強い想いと行動力で、自らの道を切り開いてきたジョージ・ナカシマの波瀾万丈な人生。

刺激に満ちた日々、そしてナカシマが経験してきたコト、その全てをもって作り上げることのできた家具たちをご紹介します。

THE SOUL OF A TREE ~木のこころ~

日本では広く知れ渡っていないジョージ・ナカシマの作品。

 

しかし海外では、ファッションデザイナーの” ラフ・シモンズ “がアントワープの自邸でピエール・ジャンヌレフレンチヴィンテージなどと合わせてナカシマの家具を愛用していたりと、世界中の多くの偉人たちからラブコールを受けていました。

 

そんなジョージ・ナカシマとは、一体どんな人物なのか。

「ジョージ・ナカシマ」とは

ジョージ・ナカシマはアメリカ合衆国ワシントン州のシアトルで育ち、ワシントン大学で森林学を二年間学んだ後、建築学を二年間学び、ハーバード大学大学院でデザインの勉強をするために奨学金を得ましたが、バウハウスを嫌い、マサチューセッツ工科大学へ転校、建築学修士号を取得しました。

卒業後は、世界一周の旅に出て、パリなどを訪れる。

その途中の戦前の日本で、建築家アントニン・レーモンドの設計事務所に席をおき、建築設計の仕事をしていました。当時の同僚には前川國男吉村順三などが、後輩には丹下健三もいたようです。

その後インドなどを歴訪し、「木匠」としての精神的な基礎部分を形成する、貴重な体験を数多くしたよう。

アメリカに戻ると、第二次世界大戦のため日系人として収容所に収監され苦労しましたが、そこで知り合った家具職人に家具の作り方を教わりました。

戦後、米国に帰国したレーモンドを頼ってニューホープに移り住み、家具製作をスタート。

アメリカでは1952年建築学会のゴールドメダルを受けるなど、早くから認められた作品はスミソニアン博物館、シカゴ美術館などにあり、1986年にはメトロポリタン美術館ジャパンギャリーの一室の家具をすべてひとりで製作しました。日本でも東京国立近代美術館、東京都現代美術館などに作品が置かれており、文字通り世界的に知られた木工家具作家で、木工家としてパイオニア的な存在の一人です。

そんなジョージ・ナカシマが手掛けた家具たち

ジョージ ナカシマの代表作「コノイドチェア」をはじめ、椅子17種以上、ベンチ、ロングチェア、コノイドデスク、コノイドダイニングテーブルなど20種以上、オダキュウキャビネットやウォールケースなど収納家具が6種以上、そしてミングレンアンドンやデスクランプの照明、指物の小物入れなど数多くの代表作が揃っています。

厳選した銘木を使用し、ジョージ・ナカシマ手書きの設計図から製作した家具たち。
娘であるミラ・ナカシマが守り続ける、米国ペンシルヴェニア州ニューホープのアトリエと桜製作所の二ケ所のみが、ジョージ・ナカシマの家具を作り続けています。

堅そうに見えて座り心地抜群なのは、建築を学び人体工学から緻密に背もたれや座面の角度が計算されているから。その緻密な設計にこたえるべく、何年たってもわずかな緩みもでないように背もたれの細い木の細さや止めを調整しているそうです。

ジョージ・ナカシマが世界で唯一認めた場所~桜製作所~が設立した記念館

1964年以来、ジョージ・ナカシマが世界で唯一その技術を認め、ともに家具製作をしてきた桜製作所が創業60周年を記念して設立した、「ジョージナカシマ記念館」。

このジョージ ナカシマ記念館は、日系アメリカ人家具デザイナー・ジョージ ナカシマの生き方や、ものづくりに対する考え方、その哲学を、作品を通してたくさんの人に知ってもらいたいとの思いから生まれたそう。

アメリカ、ニューホープの工房以外では、ジョージ・ナカシマの作品を鑑賞できる場所として、世界で無二のところと言えます。作品も過去に桜製作所が作ったものはもちろん、オークションで手に入れたものも多数。そして、この記念館のすぐそばに工房を構えていて、生前ジョージ・ナカシマとも交友があったあのイサム・ノグチのサインがはいっている柱もありました!

次の行からは、そんなジョージナカシマ記念館に実際に行って撮影した家具を少しご紹介。実は2Fの展示室の過去の作品群はとてもすばらしかったのですが撮影NGだったので、写真は1Fの現在桜製作所さんが制作しているものと、お土産としても販売されている(といってもそれなりに高額です)のミニチュアのものです。

 

コノイドチェア

二脚で片持ち梁の斬新なモダンデザイン。

職人の手仕事の技が光る、ジョージ・ナカシマの名作椅子です。

実はこれは手のひらに乗るくらいのミニチュア作品。

とても精工にできていて桜製作所さんのジョージ・ナカシマさんへの愛を感じました。

こちらは実物も重たい人がのったら壊れてしまうのでは?と心配になるほどのバランスで立っていますが、建築家だったナカシマは緻密に計算しているので大きなアメリカ人が座っても壊れることはないそうです。

グラスシートチェア

ウォールナット無垢といぐさ素材のコントラストが美しいモダンなダイニングチェア。

座面は天然素材の「い草」を使用し、体にも優しい素材でとても軽量な椅子です。

ベンチ

木の自然な姿が魅力的で美しい無垢本来の輪郭が持つダイナミックなデザインのベンチ。

ジョージ・ナカシマのデザインを象徴する作品ともいえます。

 

サイズと背もたれの左右を選択できるよう。こちらもミニチュアの作品です。

ジョージナカシマ記念館を訪れて…

わずか車で5分ほどのところにイサム・ノグチ庭園美術館がありそちらも本当にすばらしく香川県に訪れたら是非足を運んでいもらいたい場所です。こちらの記念館ではジョージ・ナカシマの生い立ちや作品に対するこだわりなどがよくわかるドキュメンタリーも見ることができ、職員の方がとても詳しく作品を説明してくださります。

ジョージ・ナカシマもイサム・ノグチもアメリカをはじめ世界で活躍する素晴らしいアーティストですが、2人とも日本にルーツがあるところが共通しています。さらにジョージ・ナカシマは、インドに訪れた際にインドからも影響を受けていて、前世はインド人だったと言っているほど日本はもちろんアジアの文化を感じる作品です。

有機的な天板が特徴のジョージ・ナカシマのテーブルも自然に対してのリスペクトが感じられ、今みても全く古くなく、むしろ今だからこそ使いたい、そんな家具です。何十年もたった手作りのオリジナルの椅子と工場で作ったものとでは背もたれの細い木のずれが全く違うそうです。ナカシマの計算した通りに手作業でつくられた椅子は、まったく緩みもなく当時のまま。工場で大量生産されたものは重心がずれて隙間ができてしまい、しばらくして生産が中止されたとか。

素晴らしいデザインと職人の巧の技が一体となった普遍的デザインのジョージナカジマの椅子。

説明を聞いて、座ってみるとその良さがよくわかり、とても感動しました。

 

 

ボッテガヴェネタでは今後つくるすべてのショップのファニチャーもジョージナカジマにするという噂もききました。

【引用元】

桜製作所 公式ホームページ

【写真元】

・桜製作所パンフレット

 

 

 

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