熱海の吉村順三邸宅で「ジャンヌレの家具」を味わう
海外セレブご用
抑制された静かな美意識の集合体
『トゥ エモン トレゾア(Tu es mon Tresor)』のデザイナー佐原愛美さんの考える美しい暮らしを体験す
日本のノスタルジックな夏休みも味わえるとても貴
吉村順三さんの建築は、軽井沢のアトリエ山
ジャンャ
熱海からローカル線で二駅。
緑でむせかえるような真夏の無人駅に降り立つと、なんだかとても懐かしい日本の夏休みの風景です。
不思議と潮の香のしない、急な坂道のカーブを5分ほど海辺に向かっておりていくと、住宅地のなかに果樹園の入り口のような門があります。
手入れの行き届いた庭が向こうに広がる目線の先に、その邸宅は佇んでいました。
それは1000坪ほどの敷地に、45年前に吉村順三氏によって設計
赤レンガと緑青の屋根が特徴の小高
目の前には太平洋の絶景が広がり、土地から施工主と一緒に吉村さんがこの景色をみてこの場所に決め
佐原さんの監修のもと、専門のチームで改修されたその邸宅
各セッション2時間程度で10名ほど。
30分かけて建築やインテ
リアの説明を受けながらゆったりと見学させていただきました。
インテリアは吉村さんと同年代のデザイナーや建築家の家具が選ばれ、
各部屋はテーマに沿った色でそれぞれまとめてあります。 \それでは早速、ルームツアーを始めましょう!/
ジャンヌレの貴重なテーブルとランプがある圧倒的リビング
日差しが強い夏でも、どこか静謐な雰囲気があるリビング。
淡いグリーンの絨毯は外の芝生と連動させて選ばれたそう。
ダイニングも同じく、「Joaquim Tenreiro(
特注でつくられている継ぎ目のないステンレスのキッチン
すべてステンレスで打ち出してあるキッチンシンクやアイランドキッチンも、45年も前とは思えないモダンさ。
ミニマムなエントランスの赤いキャビネット
フランスの家具デザイナー「シャルロット・ぺリアン」が、スイスのスキー宿
建付けの扉なども、ベニヤを丁寧に削ったものだったり、派手な装飾を
書斎には丹下健三の椅子
リビング脇にある書斎には、まるで、オリジナルの吉村さんが建付けたデスクとあつらえたかのようにぴったりな椅子が。
やはり、吉村さんと同年代の建築家である丹下健三さんのものが合わせられていました。
絨毯はエントランスがオレンジ、リビングが淡いグリーン、そしてこちらの書斎は深いブルーです。
色のリズムでモダンさがより際立ちますね。
メインベッドルームにはアイアンの印象的家具
まだベッドが納品されていないメインベッドルーム。
こちらに、今回のイベントに合わせて作られた『トゥ エ モン トレゾア』の「草木染のデニム」と定番の「インディゴのデニム」が並べられていました。
そしてここでは、佐原さんが参加者の女性に、順番にトゥ エ モン トレゾアのデニムを選んでくれるというサービスが。
5名ほどづつベッドルームに入って選んでもらったのですが、一目みただけでその人にあうデザイン、サイズをぴたりと定めて差し出していらっしゃいました。
これがまた、みんな驚くほど似合う!すごい!
私には濃いインディゴのワイドパンツを選んでくれました。
履き心地もよくてなんだか足長効果も??!
思わず購入してしまいました。
他のお客様ともお互いのジーンズ姿を見比べ、なんだか和気藹々とした雰囲気になりました。
キャビネットは吉村順三さんのデザイン、椅子は剣持勇さんで、丹下健三さん設計の旧電通本社ビルで使われていたものだそう。
テーブルは「ルートヴィヒ・ミース・ファン・デル・ローエ(Ludwig Mies van der Rohe)」の1930年代のデザインで、製作は1970年代。
奥様の洗面室だったところに置かれている椅子は、同じアイアンでも1930年代のもの。
アールデコの時代の流麗さの対比が興味深い。
2階にはゲストルームと子供部屋
ゲスト用のバスルームは深い海のようなブルーのタイルが貼られています。
天井も低めで照明も控えめな吉村建築。
その分、自然光の入り方を計算し尽くした天窓が今の時代感覚にもしっくりきます。
真っ赤な絨毯と吉村さんのデザインの備え付けのソファ。
窓から三角の陽光が入るさまがアートのようです。
日時計のようにゆっくりと太陽が動くのをみられるのは、別荘でのゆったりした時間になんともぴったり。
当時のファブリックをクリーニングして使っているソファも、クッション部分が可動式で使い勝手が良さそう。
何気なく配されたボックス形のテーブルは、ル・コルビュジェ。
リストアの具合いもいい感じですね。
館内には、女性の身体の美しさを撮る現代の写真家「Jenna Westra(ジェナ・ウェストラ)」の作品が、人の気配のように飾られています。
『トゥ エ モン トレゾア(Tu es mon Tresor)』のイメージビジュアルも彼女が撮影を行っています。
古いものと新しいもの
“今を生きる” 私たちと、 “今も生きる” 45年前の建築やインテリアやデザイン。
何故か塩の香のしないこの土地、塩害がないので45年前の吉村順三建築でも、とても綺麗な状態だったそう。
とはいえ、ここまでオリジナルに敬意を払いつつ、現代的解釈を加わえ美しく整えるには、相当の時間と労力をかけたことが伺われます。
そんな佐原さんの考える美しい暮らし。
とても癒され、素敵な体験でした。