憧れの陶磁器の都、景徳鎮へ

千年の陶磁器の都でお茶会開催!

陶器好きな方やお茶をされる方にとってはキラーワード「景徳鎮の器」。私もお茶の席で恭しく出される青磁や、いわゆる「青花」と言われる青と白の陶磁器の菓子皿、唐物といわれる珍重される中国からの伝来物のお茶入れなお茶人垂涎の「景徳鎮」は歴史的陶磁器の世界的遺跡的聖地として認識していました。でもだからといって、景徳鎮が中国のどこにあるのか?ましてや今の景徳鎮がどうなっているのか?なんてことには思いいたったことはなく、まさか今や古都の面影を上手に生かしながらも、世界的な文化都市として若者やアーティストにも大人気な近代文化都市に大発展を遂げているとはまったく知りませんでした。ひょんなことから景徳鎮で日中交流のお茶会をするために2024年秋に景徳鎮を訪れることになり現在の景徳鎮の姿を実際に目の当たりする機会をいただきました。Google検索ではほとんど上がってこずあまり日本では知られていない美しい現代の景徳鎮の姿に私自身あっけにとられしまいましたのでご報告したいとおもいます。

 

大躍進を遂げる景徳鎮

景徳鎮の旅のきっかけは、中国出身で日本に留学就職したのちに今は景徳鎮を含め、日中の懸け橋となる1500億のファンドを運用する中国の友人からの紹介でした。景徳鎮がここ10年の間に芸術系大学を2つ、美術館を7つつくりいま街全体を世界遺産登録で申請中だと紹介されてびっくり。大学では陶磁器だけではなくガラスや漆まで含めて世界最新鋭の設備を備え、海外からも様々なアーティストをアーティストインレジデンスとして向かい入れ、毎週末には何万人も訪れるアートマーケットを開催しているといいます。300のテントが立ち並ぶマーケットでは若者たちも自分たちが制作した作品を販売でき、おしゃれな若者で賑わっているといいます。この話をきいても全くぴんとこなかったのですが、毎年春と秋の2回「春秋大全」という大きなイベントが開催され、ちょうどファンドの友人も景徳鎮に行くというので同行させていただくことになりました。ご招待的な側面もあったのと、世界からないろいろな芸術家がきているけれど日本からはまだあまり交流がないというお話だったので、それではせっかくなのでお茶会を催させていただき日中文化交流的なことをさせていただこうというお話になりました。詳細はまたの機会に譲りますが大好評でした!

景徳鎮のランドマーク「陶渓川文創街区」

大きな陶磁器のイベント「春秋大全」が催されるのが陶渓川文創街区」です。こちらについてあまりに美しい古いレンガ造りの街並みにまず驚きました。2㎢のエリアに1500億円ほど投じ、陶器文化を基盤に伝統+ファッション+芸術+ハイテクを融合させた文化都市です。国内外の有名な建築家が古い街並みを残しながら新たに都市デザインを敷地内には、陶磁産業遺産博物館や美術館、陶芸学校などの教育施設をはじめ、アートセンターや劇場、デザインホテル、シェア型アパートメント、ブランド体験型のショップなどが立ち並び、多様なサービスや体験が一体となった空間が広がっています。開発も第5期まで計画されているそうですが、今第3期工事が進行中で高いマンションが立ち並び若者にも人気の都市となり活気にあふれています。陶磁器産業も好調では2022年に660億元(約1兆3500億円)の売上高を達成しているというまさに陶磁器文化の街。

世界文化遺産へむけて

現在世界文化遺産登録を申請中という景徳鎮。

景徳鎮の「陶渓川文創街区」には千年以上の歴史を持つ108本の街路、600年続く官窯の伝統、400年以上前の窯業遺構、そして70年以上の産業遺産が今も息づいています。

古い街並みを生かして国内外の一流の建築家設計したレンガ造りの建物が並び、古い城壁に囲まれたエリア内は、最古の窯の巨大な煙突や歴史的資料館など残しながら陶磁器やお茶を扱うお店が300店舗軒を連ねます。3000件のうち常にトップ300になるようにお店に入れ替えもあるそうですが、実際に絵付けをしている様子なども見れて、細い小道にはおしゃれなカフェやちょっとしたファストフードを売るお店もあり、昔の宮廷風の衣装で歩くスタッフの方々やコスプレをした人達でにぎわっています。

 

 

 

組織的に若いアーティス達を育成するシステム

陶渓川文創街区をそぞろ歩きをしていると実際に絵付けなどの作業を公開しているお店がたくさんあります。若いアーティストの人たちがたくさんいますが、大学や博物館などの教育施設が充実していることに加え、大規模な不動産開発を同時に行うことでたくさんのマンション群が提供されることによって若い人たちが集まってきているということでした。

また若いアーティストの販売を助けるために毎週末には数百のテントが立ち並びそこで思い思いの作品が販売されて数万人の人たちが集まるそうです!教育と販売手助けするシステムを作っているのです。

景徳鎮自体は人口150万人と中国では小規模な都市ですが(日本人の私からみると100万人地方都市は十分大きい!)経済的にも中国の中では活気を呈しています。若者が多いせいか夜中までたくさんのショップが開いていて賑わっています。

国際都市として海外からアーティストを招聘

窯など大学での設備は最新鋭のものを揃え、海外のアーティストの招聘にも力をいれているそうで、陶磁器に限らずガラスやファッション関係の人たちもアーティストインレジデンスのプログラムで景徳鎮に数か月滞在して作品を作ったり、講義を行ったりする国際的文化交流も活発で、72か国の180以上の都市と友好関係を結び、現在50か国以上の国からアーティストが景徳鎮を訪れているそう。私たちのお茶会にもインドやヨーロッパからきて景徳鎮で活動しているアーティストも参加してくれて楽しんでいただけました。芸術的なインフラの整備された環境で、国や文化の違うアーティストが集まり刺激しあい新たな作品を生み出されていく様子をきき、心が躍りました。

日本からはまだあまり多くのアーティストは参加されていないとのことですが、冒頭に紹介したファンドの方々は京都芸術大学や日本六古窯(中世から現在まで生産が続く代表的な6つの産地(越前・瀬戸・常滑・信楽・丹波・備前))などとの連携を促進して、私たちが訪れた時は信楽の方が何人かいらしているというお話でした。(残念ながら広い会場でお目にかかることができませんでした。

 

 

 

お宝がざくざくある博物館

10年の間に7つのもの美術・博物館をつくるというのもものすごいパワーですが、国内外に建築家によって建てられた美しい建築物のなかに、ものすごい数の器が収蔵されています。官窯と民窯は完全にわかれていますがその両方の作品を一挙にみることができます。そして特筆すべきは歴代の皇帝のために作られた精緻な陶磁器の数々。特に中国で好まれているのは龍の絵柄ですが5本の爪がある龍は皇帝のためだけにしか使えなったそうで万が一それを一般に用いれば反逆罪で死罪になるほど厳しく取り締まられてしました。5本の爪の龍が描かれていればそれすなわち皇帝陛下の持ち物ということになります。破片ですらとても美しく、破片だからこそ断面からその焼き方などがわかるので貴重は文化遺産となっています。

ごくたまに、お道具の素晴らしいお茶会で景徳鎮の器が出されたりしますが、それは恭しく扱われています。元の時代のものなら小さな菓子皿でも数億、壺などであれば数十億で国内で取引されているということですので(汗)

出光美術館にも素晴らしい景徳鎮の青花などが多く収蔵されていますが、しかしこれほどの数のものが一度にそして、全体を網羅する形でみれるというのはやはり特別な体験です。

 

伝統と革新、新たな景徳鎮の焼き物の魅力

2000年以上の歴史をもち世界最高峰の技術を誇った陶磁器の景徳鎮。一度は失われつつあったこの技術と歴史を、今新たに世界と連携し新たな文化都市として蘇り発展しようとしています。陶磁器の伝承と発展を奨励し、陶磁器職人・作家が切磋琢磨しながら日々愛好家の規模拡大を推進している一大文化事業、世界遺産登録も目の前に迫りその美しい陶磁器の世界から目が離せません。

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