中国茶会レポート~六本木WELLBEING TOKYOで学ぶ蓋碗と香りの世界~

WELLBEING TOKYOが開催する中国茶教室に参加させていただきました。テーマは「初めての蓋椀レッスン〜シノワズリが彩る美しい中国茶の所作と抽出の極意〜」静かな美意識に満ちた、上質なひとときを体験しました。

景徳鎮の茶器が織りなす中国茶の空間美

中国茶の茶器セット(景徳鎮の蓋碗・茶海・茶杯)

定期的に企画される茶会ですが、今回は中国茶についてと蓋碗の扱い方をテーマにした回でした。WELLBEING TOKYOのギャラリーに足を踏み入れた瞬間、蓋碗のかわいらしい姿が目に飛び込みました。また、テーブルの上には谷家さんの審美眼で集められたお道具や器たちが並び、その美しい佇まいにうっとり。景徳鎮の作家による茶器、錆鉄台座、そして村瀬治兵衛の漆器などが調和し、空間には凛とした緊張感が漂います。一つひとつ拝見するだけでも心が満たされ、贅沢な時間がゆるやかに流れていきました。

中国茶の種類 ~蓋碗でいただいた三種の中国茶~

西湖龍井茶の明前茶(2026年)古樹白茶、 西湖龍井茶、鳳凰単叢、中国茶の茶葉

この日用意されたのは、中国で谷家さんが選び抜いた3種のお茶。まずデモンストレーションで供されたのは、「暴れん坊なお茶」と称されたラオスの「古樹白茶・寿眉・2026年春」。蓋碗に溢れそうなくらいの茶葉を惜しみなく用いることで、力強さと奥行きのある味わいが引き出されます。

自ら蓋碗を選び淹れたのは、「西湖龍井茶・2026年・明前茶」。この「明前茶」とは、毎年4月初旬に迎え、中国で大切にされている、清明節の前までに摘まれた格別な茶葉を指します。冬のあいだに養分を蓄えた若芽は、繊細な香りと透明感のある味わいを宿すとされ、実際に口にするとその言葉を裏付けるかのような清らかな余韻が広がりました。なお、谷家さんは、この季節に景徳鎮で茶摘みを体験されたそうで、そのお話については次回のコラムでご紹介したいと思います。

3種目は「鳳凰単叢・2023年」。こちらは非売品とのこと。筒状のガラス器で淹れられ、若緑の茶葉が水面に浮かび、やがて静かに沈んでいく様子は可憐で美しく、ひときわ印象に残りました。視覚、香り、味わいが重なり合い、体験はより豊かで優雅なものへと深まっていきます。

蓋碗の基本 ~中国茶の淹れ方と美しい所作~

蓋碗を使った中国茶の淹れ方(六本木の中国茶会)

蓋碗でお茶を淹れる工程は簡潔でありながら奥深いものでした。蓋碗・茶海・茶杯を湯で温める、茶葉をたっぷりと入れる、七〜八分目まで湯を注ぐ、蓋をして10秒待つ、蓋を少しずらし手首と腕を直角に保ちながら茶海へ一気に注ぐ、茶杯の湯を捨てて注ぎ分け、茶托にのせて供する——その一連の流れは、静かで流麗な美しさをまとっていました。

中国茶の抽出 ~温度・時間・好み・茶器との相性で広がる楽しみ方~

中国茶の茶器セット(景徳鎮の蓋碗)

湯の温度や抽出時間、茶葉と茶器の相性にはさまざまな考え方があり、好みもまた人それぞれ。その中で谷家さんが大切にされているのは、「大らかな気持ちで淹れること」という姿勢でした。とりわけ近年は高温で素早く抽出する方法も好まれているそうで、自分なりの好みを見つけていく過程そのものが、中国茶の醍醐味の一つであると感じました。条件のわずかな違いによって香りは大きく揺らぎ、その繊細な変化は静かに心に残り続けています。

蓋碗でいただく中国茶の魅力 ~香りを味わう奥深い体験~

中国茶の茶器セット(景徳鎮の蓋碗・茶海・茶杯)

そうして淹れられた中国茶に触れて、改めて感じたのは、中国茶は香りを楽しむものであるということ。茶道や紅茶とは異なる感覚の世界が広がります。茶葉そのものの香り、蓋碗から茶海へ移した後の余韻、茶杯に注がれ口に運ぶ前に立ちのぼる香り。さらに2煎目、3煎目と重ねるごとに、表情は驚くほど豊かに変化していきます。
茶葉によっては10煎以上にわたり、その表情を豊かに変えながら楽しめるという中国茶。重ねるごとに花ひらくように広がる香りと味わいは、優雅な余韻をもたらし、触れるほどに尽きることのない奥行きと、心を惹きつけてやまない魅力を感じさせます。

 

中国茶の楽しみ方 〜浮き星とデザートが彩る優雅な余韻〜

中国茶会のお菓子と振出

中国茶に合わせて谷家さんが出してくださったのは新潟の菓子「浮き星」。金平糖のような可憐な佇まいながら、その中心にはあられが潜み、口に含むとほろりとほどける甘みとともに、軽やかな歯ざわりが広がります。振出からこぼれるその姿はまるで金平糖。口に含むとどこか異なる趣を湛え、そのささやかな違いが心をくすぐります。
茶に浮かべると、はじめは静かに沈み、やがてふわりと水面へと浮かび上がる——その移ろいはどこか詩的で、思わず見入ってしまうほど。中国茶とともに味わうことで、甘みと香りが重なり合い、1杯の中に幾重もの表情が生まれます。

さらに、谷家さんが用意してくださった白木耳と白桃のデザートも忘れがたい一品でした。やわらかく独特で繊細な食感の白木耳に、みずみずしい白桃の甘みが重なり合い、口に運ぶたびにほどけるような、ひんやりと優しい余韻が広がります。その一皿が、ひとときの時間をより豊かで贅沢なものへと導いてくれました。

中国茶のある暮らし ~蓋碗から始める楽しみ方~

六本木の中国茶会で蓋碗を使ってお茶を淹れる様子

景徳鎮を訪ね、茶葉をご自身で摘んできたという谷家さん。その歩みを知るほどに、中国茶という文化の奥行きは一層深く感じられます。すべてを揃えずとも、まずは蓋碗ひとつから。日常の中に静かな余白を設えるだけで、その豊かな世界は自ずとひらかれていきます。

WELLBEING TOKYOでは、選び抜かれた景徳鎮の蓋碗をはじめ、茶海や茶杯、紫砂壺などの茶器もご覧いただけます。定期的に催される茶会とともに、その静謐で奥行きある世界に触れてみてはいかがでしょうか。

 

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中国茶の茶器セット(景徳鎮の蓋碗・紫砂壺)

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WELLBEING TOKYO 六本木ショールームのご案内

中国茶の茶器セット(景徳鎮の蓋碗・茶海・茶杯・茶匙)

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ライター:Mayo Ishii
テーブルコーディネートディプロマ取得。アフリカ、ヨーロッパ、東南アジア、インドに滞在。世界中の手工芸品や文化をテーブルに取り入れることが好き。

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