時を結ぶ、器の饗宴 -景徳鎮 Jingdezhen × 漆芸 Japan-

現代に生きる工芸の姿を、日本と中国という二つの文化の交差点から見つめる新たなシノワズリ── そんなテーマを掲げた展示会「時を結ぶ、器の饗宴 -景徳鎮 Jingdezhen × 漆芸 Japan-」が、今年5月3日〜11日に六本木のCourage de Vivre(クラージュ・ドゥ・ヴィーブル)にて開催され、大好評のうちに幕を閉じました。会期中、多くの方にご来場いただき、心より感謝申し上げます。今回はその様子をお伝えしたいと思います。

古典的な中国陶磁器ではない、”今”の景徳鎮を──

景徳鎮といえば、「青花」に代表される白磁のイメージが強く、日本でも茶の湯の世界では知られた存在です。それ以外ではまだ「古典的な中国陶磁器」の印象が強いのではないでしょうか。しかし、今回展示された作品は、そうした従来の印象を大きく覆すものでした。実際に景徳鎮を訪れた谷家理香さんによれば、古い窯跡が残る一方で、新しい発想とデザインが息づく町には、伝統を背景にしながらもモダンで力強い表現があふれていたそうです。
その“今”の景徳鎮を日本に伝えたい── そんな想いが、今回の展示の大きな出発点となりました。

中国茶特有の芳醇な香りと味わいを中国陶磁器で楽しむ

展示期間中、会場では中国茶のふるまいが行われました。日本の茶道に比べると作法はずっと自由で、形式にとらわれず、何よりその味わいの豊かさに心を奪われる方が続出。初日は中国茶の専門家・三澤光代先生が、2日目からは谷家理香さん自らが茶を煎れ、多くの来場者がそのおいしさと香りに癒されました。
自然と会話が生まれ、作品への関心も深まっていく。中国茶という文化がもつ、ゆるやかで温かいコミュニケーションの力が、展示全体に柔らかな彩りを添えていました。

景徳鎮の土地、そこで作られる陶磁器「景徳鎮」

展示には、谷家理香さんの娘であり写真家として活動するCoco Taniya氏による作品も加わりました。彼女が実際に景徳鎮を訪れ撮影したモノクロ写真は、器や漆器と並ぶことで、景徳鎮という土地の“今”を立体的に浮かび上がらせていました。
静かで、詩的で、そしてどこか凛とした気配をたたえる写真群。それらはただの記録ではなく、景徳鎮の空気や温度を感じさせるような、視覚を超えた体験として多くの来場者の心に残ったことでしょう。

美の対話── 日本の人間国宝×中国の伝統工芸最高峰

今回の展示のハイライトのひとつは、日本の人間国宝と、中国における伝統工芸の最高峰とされる作家の作品が並び立つという、稀有な空間でした。輪島塗の巨匠・角井三郎氏の作品と、日本でいう“人間国宝”に相当するような評価を受ける李毛仔氏や、黄一龍氏の作品が同じテーブル上に置かれたとき、その存在感と緊張感は言葉を超える品格と迫力を放っていました。
素材も技法も異なる工芸が、互いを高め合うように調和していたその光景は、まさに美の対話の極みです。

茶器の御櫃や箱を現代のインテリアに昇華させる

輪島塗のふるさと・能登は、いまもなお震災からの復興途上にあります。そんな中、茶器を納める為の御櫃や箱が、現地から六本木の会場へと運ばれ展示されました。

もともと御櫃や箱は、日本の生活文化に深く根ざした存在でありながら、現代の暮らしの中では徐々にその使用機会が減りつつあります。そんな危機感の中、WELLBEING TOKYOでは新たな視点からの提案を試みました。

それが、伝統的な漆芸にアイアンのスタンドを合わせるというアプローチ。伝統的な御櫃や箱が、現代のインテリアにも自然に馴染み、「見せる収納」として新たな命を吹き込まれたのです。単なる展示品ではなく、現代の暮らしに寄り添う“使いながら残す工芸”の可能性が、来場者にも確かな印象を残したことでしょう。

もうひとつ大きな反響を呼んだのが、中国の銀製の茶器でした。小ぶりで繊細、かつ非常に美しい仕上がり。
手のひらの中で軽やかにきらめくその存在は、茶器であると同時に、まさにアートピース。ものづくりの粋が宿るその造形に、多くの人が足を止めていました。

古いものが“今”へと繋がる美しい連鎖

今回の展示を通して“今”の景徳鎮を知る機会を得ました。それと同時に、中国茶という文化がもたらす味わいや交流の魅力にも、多くの方が心を動かされました。これを機に6月にはWellbeing Tokyoにて中国茶会の開催も予定しています。

漆と磁器、茶と写真。異なる素材や表現が響き合うことで、古いものが“今”へと繋がる。その美しい連鎖こそが、この展示が私たちに示してくれた最も大切なことだったのかもしれません。

このたびの展示に足をお運びくださった皆さま、そして作品を手に取ってくださった皆さまへ、心より感謝申し上げます。会場での一つ一つの出会いや会話、皆さまの真摯なまなざしが、この展示の空気を豊かなものにしてくださいました。

おかげさまで「時を結ぶ、器の饗宴 -景徳鎮 Jingdezhen × 漆芸 Japan-」は大好評のうちに幕を閉じることができました。たくさんのご縁に恵まれた9日間に、改めて感謝いたします。

これからも、WELLBEING TOKYOでは暮らしの中に息づく美と手仕事の魅力を、さまざまな形でお届けしてまいります。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

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ライター:Mayo Ishii
テーブルコーディネートディプロマ取得。アフリカ、ヨーロッパ、東南アジアに滞在。世界中の手工芸品や文化をテーブルに取り入れることが好き。現在インド・チェンナイ在住。

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